第132回 緊急時って、どんな時?
大手製菓メーカーによる消費期限切れの材料の使用や、
ガス機器の不完全燃焼による死亡事故など、
思わず、こう叫びたくなる事故が続いています。
なぜ、彼らは「こんな大変なこと」を、放っておいたのでしょう?
理由は、2つあると思います。
1つ目は・・・
それが「大変なこと」であると認識していなかったため。
2つ目は・・・
「大変なこと」を隠そうとしたため、です。
たしかに、
「大変なことくらい、分かるだろうが!」
「そんな大変なことを、隠そうとするなんて!」
と憤慨されるのもごもっとも、と思います。
でも、ちょっと待ってください。
これって、あなたの会社でも起こり得るのではないでしょうか?
2006年版JISでは、「3.3.7 緊急事態への準備」が、新たな要求事項として登場しました。
では、「緊急事態」って、どんなことを指すのか?
それは・・・
■「緊急事態」の認識を共有しよう
「“個人情報が漏えい、滅失又はき損した場合”が緊急事態でしょ。JISに書いてあるよ。」
はい、その通りです。
重要なことは、具体的にどんなことが起こった時に、
個人情報が漏えい・滅失・き損したと判断するのか?
そして、すべての従業者が同じように理解しているか?
ということなんです。
あなたに質問です。
回答:
(1)すぐに、緊急事態と判断して報告する。
(2)「あれ?どこにしまっちゃったかな?またコピーしなくちゃ。」
と、事態を見過ごす可能性がある。
あなたも、他の従業者も全員(1)を選び、
しかも本当に実践できるなら、合格です。
でも、もし少しでも(2)を選ぶ可能性があるなら、要注意です。
「起こっている事態は知っていたが、それが緊急事態だとは思わなかった。」ために、緊急事態が見過ごされる危険性もあるからです。
緊急事態は、事態をつかむのが遅れれば遅れるほど、問題が大きくなります。
どのような事態が緊急事態なのか、社内で共通の認識を持ち、
判断に迷った場合は個人情報保護管理者に判断を仰ぐよう、
ルールを徹底する必要があります。
■「大変なこと」に大騒ぎしよう
もう1つだけ質問です。
しかも、それが自分や、自分の部下のミスだったら?
回答:
(1)どんなささいな事でも、緊急事態として報告する。
(2)たいしたことがないなら、自分で処理する。
全員が(1)であれば、問題はありません。
事故は起こらないでしょう。
しかし、日常業務を考えてください。
意外に(2)を実践してしまっている人が、多いのではないでしょうか?
本人やその上司が過失を隠ぺいしたり、
事態を軽く見て報告が滞ると、
時間の経過と共に問題が大きくなり、
周りが知ったときには手が付けられない大問題に発展している、
ということになりかねません。
緊急事態を速やかに報告するための手順や連絡ルートを決めておく必要があります。過失を隠ぺいすることがないように、報告先を2カ所設定するのもよいでしょう。
しかし、実際に報告があがってくるのかな?と社内のコミュニケーションや風土に、疑問や不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
そのために・・・
■緊急事態の芽を摘もう
ハインリッヒの法則を、知っていますか?
1件の重大な事故の影には、かすり傷程度の事故が29件、事故には至らないが「ヒヤリ・ハッ」とする事例が300件あるという法則です。
大きな事故は突然起こるものではありません。小さなトラブルが事前に必ず発生しているものです。小さなトラブルを見逃さず、コツコツと改善していくことが、事故を防ぐためには必要です。
ちょっとした失敗を厳しく責められたり、いつまでも嫌味や文句を言われたりするような会社では、トラブルに関する情報は経営トップになかなか届きません。
経営者は失敗を報告しやすい環境を作り、小さな失敗に大騒ぎして問題をオープンにし、全員で対処できる環境づくりをすることが大切です。
個人情報保護の活動を「縁」にして、いい風土をつくりたいですね。



